
一私小説書きの日乗 (角川文庫)
西村 賢太
本の雑誌社 / 2013-12-31
この本について
仕事でも創作でも、自分のやっていることが本当に意味あるのか分からなくなる瞬間ってありますよね。評価されない期間が続くと、「このまま埋もれていくのかな」と不安が顔を出したり、逆にちょっとした肯定に必要以上に救われたりもする。頭では割り切れない、あのモヤモヤと近いものを、この本は妙に正直に書いてくれています。 西村賢太の『一私小説書きの日乗』は、カッコつけた創作論でも、成功者の振り返りでもありません。電話が午前中に来たらキレそうになる話とか、印税が480万円だったと淡々と書かれているくだりとか、空港で別れ際にこみ上げた気持ちとか、「そんなことまで日記に残すのか」と思うほど生活と感情がむき出しです。でも、社会のどこにも属しきれない感覚とか、がむしゃらに続けるしかない仕事の重さとか、そういう部分に妙に寄り添われるんですよね。 特に、干されて崖底に落ちたようなところから「左腕一本で這い上がった」と書く姿は、すごい美談ではなくて、ただの現実の手触りです。うまくいく日とダメな日が入り混じる中で、それでも机に向かうしかなかった時間が、読んでいる側の気持ちを静かに支えてくれる。 派手な刺激はなくても、仕事や創作で「自分だけ取り残されている気がする」人には沁みやすい一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの63%が集中しています。
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