
入門 俳句の表現 角川選書
藤田 湘子
角川学芸出版 / 2002-12
この本について
俳句に限らず、何かを「表現しよう」と思ったときに、自分の目でちゃんと見ているつもりでも、あとから読むと薄っぺらく感じてしまうことがあります。比喩を入れたのに浮いてしまったり、言葉を削ったつもりが逆に伝わらなかったり、常識を書いただけで終わったり。僕も短文を書くたびに同じところでつまずいてきました。 この本に出てくる例句と著者のコメントは、そのつまずきの正体をすごく静かに、でも容赦なく炙り出します。「比喩は魅力的だから使うのではなく、見えている世界がまず先にあること」「言葉を削るときに消すのは意味ではなく雑音であること」「自分が知っている前提を読者も知っていると思い込むと句が甘くなること」。どれも俳句の技法の話なのに、読みながら自分の思考や文章のクセにそのまま刺さりました。 とくに、何度も見た末に“余計なものが削げ落ちて無に近づく”という話は、日常の観察や企画でもそのまま当てはまります。見たつもりでいたものを、本当に見ていたか。自分の言葉として持てる語彙がどれだけあるか。こんな当たり前を突きつけられる本は久しぶりでした。 俳句を作る人だけでなく、「言葉の精度を上げたいけど、何から直せばいいのかわからない」という人に静かに効く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
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