
その女アレックス (文春文庫)
ピエール・ルメートル and 橘明美
文藝春秋 / 2014-09-10
この本について
最近、誰かの言葉や出来事にふと足を取られることが増えました。自分の欠点を他人に指摘されて気づいたり、昔の感情が思わぬところでぶり返したり、逃げたつもりのものにまた追いかけられたり。頭では整理できているはずなのに、心のほうが動いてくれないあの感じです。 『その女アレックス』を読んでいると、人が抱えた矛盾や、忘れたと思っていた痛みがどうやって人生の奥に沈んでいくのかが妙にリアルに響いてきます。たとえば「人は自分の人生から逃れることができない」という一文は、物語のセリフでありつつ、どこか自分の日常の延長にも思えてくるし、「欠点とは本人は忘れ、気づくのは他人だけになる」という観察には、やけに現実味があります。登場人物が向き合う“整理しきれない感情”が、そのままこちらの内側を刺激してくるんです。 そしてこの物語がすごいのは、暴力や犯罪そのものよりも、人が追い詰められたときにどんな選択をしてしまうのか、そこに潜む弱さや必死さのほうを丁寧に照らしてくれるところです。真実と正義の揺れ、家族への複雑な感情、自分という儀式のような人生の続き方。読んでいてしんどい場面も多いのに、どこか自分の感情の仕組みに光があたる感じがしました。 複雑なものをそのまま複雑なまま抱えている人ほど、この本の空気が刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
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