
城塞(下)(新潮文庫)
司馬 遼太郎
この本について
仕事でも日常でも、判断に迷ったときって、目の前の材料ばかりを必死に並べてしまって、肝心の「人の動き」や「場の空気」を読み落としている気がします。頭では冷静なつもりでも、状況に巻き込まれると視野が狭くなるあの感じです。 『城塞(下)』を読んでいて刺さったのは、まさにその“人の揺れ”への洞察でした。真田幸村の決断がどう生まれたのか、籠城側の心がたらいの水のように揺れ続けることを家康がどう読んでいたのか、あるいは武将が前線に立つと全体を見失い、自分の功だけを追ってしまう弱さなど、戦の描写に見えて実は人間の普遍的な反応がそのまま描かれています。自分も職場で判断が割れるとき、似たような揺れ方をしているのを思い出しました。 もう一つ心に残ったのは、「態度が議論を制す」というくだりです。内容より姿勢が場を動かしてしまうことは、歴史物語に限らず、会議でも交渉でも痛いほど思い当たります。うまくやろうと力むほど言葉が届かなくなるとき、この描写が少し重しになってくれる気がします。 派手な教訓がある本ではないですが、人が追い詰められたときに何を見失い、何に縋ろうとするかを淡々と描いてくれます。組織の空気に惑わされがちな人や、判断の軸を持ち直したい人にはしっかり刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
読書の順序
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