
街道をゆく43
司馬遼太郎
株式会社朝日新聞出版 / 2009-05-30
この本について
仕事でも日常でも、同じやり方を無意識にくり返してしまうときがあります。成功体験に縛られているのか、それとも自分に合う道をまだ見つけられていないのか。頭では整理できないのに、行動だけがパターン化していくあの感じ、けっこうしんどいですよね。 『街道をゆく43』を読んでいて感じたのは、歴史の人物たちも同じように“型”との距離感でもがいていたということでした。義元のように身分意識の延長で振る舞いが固まっていく人もいれば、信長のように若い頃の奇跡的な成功すら二度と模倣しなかった人もいる。なぜそう振る舞えたのかを、土地を歩きながら語る司馬さんの視点は、成功とか失敗という言葉では説明できない「背景の質感」まで連れていってくれます。 個人的に刺さったのは、写真と絵画の違いをめぐるくだりで、人間は意味よりも表現を好む、という一言でした。理屈で考えるほど身動きが取れなくなるのに、表現として触れたものには不思議と納得できる。歴史の人物の選択も、その土地の空気や文化の“表現”として見ると、急に腑に落ちる瞬間があるんです。 型に縛られている気がする人、あるいは型を捨てたいのに怖さが勝ってしまう人には、そっと効いてくる一冊だと思います。
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