
【電子特別カラー版】恋するソマリア (集英社文芸単行本)
高野秀行
集英社 / 2015-01-31
この本について
仕事でも日常でも、遠い国のニュースを見たときに「結局、何が起きているのか全然つかめない…」みたいなもやっとが残ることがあります。表面的な説明だけ追っても、現地では別の力学が動いている気がするのに、自分の想像が追いつかないまま終わってしまうあの感じです。 『恋するソマリア』の抜粋を読んで刺さるのは、まさにその“見えない力の働き方”が地に足ついた形で語られているところだと思います。内戦後の民兵の武装解除が一番難しいという話も、一カ月で体から「現地感覚」が抜けていくという描写も、政治や宗教の話を飛び越えて、生身の人間の反応としてすっと入ってきます。複雑に見える国際政治の裏側にも、現地の人の習慣や感覚のズレが積み重なっているだけなんだと気づかされました。 選挙で宗教勢力が強い理由の説明も、日本からだと「そんなことある?」と感じる部分が、資金や組織の動きと結びついていて腑に落ちます。民主主義が必ずしも“リベラルな価値観”を選ばない現実を、批判でも理想論でもなく、そのままの形で見せてくれるのがこの本の面白さです。 海外ニュースを見るたびに「背景がわからないまま置いていかれてる気がする」という人には特に刺さります。こちらの理解力を試してくるタイプではなく、「自分も迷いながら見てきた」と語る著者についていく形なので、読み終えるころには遠い国の景色が少しだけ自分の体温に寄ってきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの67%が集中しています。
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