
ルポ 資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄
白戸 圭一
朝日新聞出版 / 2012-02
この本について
日々ニュースを見ていて、世界のどこかで起きている暴力や貧困が「遠い出来事」にしか感じられないことってありますよね。理解したい気持ちはあるのに、背景が複雑すぎて、どこから向き合えばいいのか分からないままモヤモヤが残る。僕も同じで、その感覚を放置し続けていました。 この本は、その曖昧な距離感を一度リセットしてくれました。例えば、南アで著者自身がクレジットカード犯罪に遭う場面や、ナイジェリアの油井の隣村が未だ暗闇にある現実。教科書的な説明ではなく、そこで暮らす人の顔や葛藤まで見えてくるので、「資源」「暴力」「貧困」が急に現実の出来事としてつながり始めます。また、ソマリアの治安悪化が海賊の拡散につながるように、暴力が国境を越えて波及していく構造も、実例が積み重ねられているからこそ腹に落ちました。正義や解決策を押しつけない語り方なので、自分自身の立ち位置を探す時間がちゃんと残されているのもありがたいところです。 特に、貧しさと犯罪の間で揺れる母親の言葉の場面は、僕自身の「きれいごと」に気づかされました。分かりやすい因果ではなく、そこに生きる人の矛盾ごと受け止める視点が育つ本です。 世界のニュースの裏側にある人間の感情まで知りたい人に刺さる一冊だと思います。
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