
NHK「100分de名著」ブックス 世阿弥 風姿花伝
土屋 惠一郎
NHK出版 / 2015-02-24
この本について
最近、仕事でも創作でも「前にうまくいった型から離れられないな…」と感じることがありませんか。自分では変化したいと思っているのに、気づけば同じ手ばかり出してしまう。しかも周りの空気やタイミングをつかみ損ねて、余計に動けなくなる。僕もずっとこのあたりでつまずいていました。 この本にある世阿弥の言葉が刺さったのは、「成功体験こそ危ない」と言い切るところでした。一度できた手を繰り返してしまう惰性をどう断ち切るか。世阿弥は、能の世界をひとつの市場としてとらえ、勝ち残るためには“新しい切り口”を常につくり続ける必要があると言います。それは壮大な理想論ではなく、場の空気を読むことや、相手の波が来ている時にはあえて動かないといった、ごく現実的な感覚の話として出てくるんです。また、「初心」は若い頃の志だけではなく、年齢や状況の変化に合わせて何度も更新していくものだという視点も、今の自分にはとても助けになりました。 仕事で昔の成功に縛られている人や、変わりたいのにリズムをつかみきれない人には特にしっくりくると思います。世阿弥が語るのは精神論ではなく、場と人との関係の中でどう一歩を踏み出すかという、生々しい技法です。僕自身、この本を読んでから、小さな挑戦でも「今の状況に合った新しい手は何か」と考える癖がつきました。そんな視点を求めている人には、静かに効いてくる一冊だと思います。
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