
里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く (角川新書)
井上 恭介、NHK「里海」取材班
KADOKAWA / 2015-07-08
この本について
仕事でも生活でも、「自分ひとりが頑張ったところで何が変わるんだろう」とか、「お金や効率ばかり追いかける感じにどこか疲れてきた」という声をよく聞きます。僕自身も、必要以上に“正解”を探しては空回りすることがあって、その度にモヤモヤを抱えていました。そんなときに読んだのが『里海資本論』でした。 この本がおもしろいのは、いきなり大きな理想を掲げたり、奇跡の成功例を語ったりしないところです。瀬戸内の漁師が三十年かけて海をよみがえらせてきた地道な営みや、「人が関わることで自然の多様性が戻る」という意外な視点が、じわっと効いてきます。小さな行動しかできない自分にも、プロセスに関わる余地があるんだと落ち着いて思えるんです。また、「マネー資本主義が自己増殖しすぎた」という指摘も、日々の仕事で感じる違和感とつながっていて、どこか肩の力が抜けました。 読んでいると、世界を劇的に変える話ではなく、「微力でも関わり続けると均衡が戻ることがある」という、ごく現実的な希望が見えてきます。大規模プロジェクトを動かす力がなくても、地域でも職場でも、今ある環境に少し手を加えてみるだけで風向きが変わるかもしれない。そんな目の前の一歩を肯定してくれる本です。 自分の役割の小ささに悩んでいる人、あるいは“効率だけでは測れない価値”を探している人に静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの63%が集中しています。
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