
統合失調症がやってきた
ハウス加賀谷 and 松本キック
イースト・プレス / 2013-08-10
この本について
最近、人に助けを求めたのに軽く流されたり、「なんでわかってもらえないんだろう」とモヤモヤすることがありませんか。しんどさを言葉にするだけでも勇気がいるのに、その気持ちが宙ぶらりんのまま残ってしまうと、自分でも気持ちの置き場がわからなくなることがあります。 『統合失調症がやってきた』を読むと、その“届かなさ”に少し輪郭が出てきます。抜粋にもありますが、加賀谷さんの願いが軽く扱われる場面は、病名や症状とは関係なく、誰にでも起こり得る「理解のすれ違い」のリアルさがあります。読んでいる側も、あのとき自分が流された瞬間の記憶がふっとよみがえったりします。そしてもう一つ、格闘技ジムに通う描写からは、病気の話だけでなく“自分の身体を取り戻す感覚”のようなものが静かに伝わってきます。病気を克服したとか劇的に変わったという話ではなく、日常の中で少しずつ生活を立て直していく過程が見えるのが、この本の大きな手触りです。 気持ちを言葉にしづらいとき、自分が弱いのではなく“届きにくい状況にいたのかもしれない”と視点が変わるのは、個人的にすごく救われました。誰かを説得しようとする本ではなく、当事者と周りの人とのズレがどんなふうに起きるのかを、具体的なエピソードで追っていける本です。 自分のしんどさを「説明しきれないまま抱えてきた人」に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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