
救われてんじゃねえよ
上村裕香
新潮社 / 2025-04-16
この本について
最近、自分のしんどさを誰にも説明できないまま抱え込んでしまうことが増えていませんか。家族のことでも、職場のことでも、「やって当然」の空気に押されて、本当はどこが苦しいのか自分でもよく分からなくなる、あの感じです。逃げたいわけじゃないのに、ずっとそこに縛られているようなモヤモヤ。強いとか弱いとか、周りの言葉の枠に当てはめられるたびに、なんだか違うと思いながら流してしまう自分がいる。 『救われてんじゃねえよ』は、その「違う」の輪郭を少しだけはっきりさせてくれる本でした。ヤングケアラーを弱さの象徴として扱うんじゃなく、そこで培われた技術や視点をちゃんと一つの力として見る姿勢がまず印象的で、読んでいて思わず姿勢が変わりました。また、著者がテレビの編集や世間の「物語」に切り取られていく感覚を淡々と語る場面は、自分が日常で感じてきた“決めつけられる側の息苦しさ”に繋がってきます。そして極めつけは、「隣の人を助けるのは当然」と思ってきた自分の中に、ふと別の考えが芽生える瞬間の描写。自分の気持ちがどこにあるのか、やっと言語化されたような感覚がありました。 悲劇でも美談でも片付けず、生々しいままの気持ちに触れられる本です。誰にも言えない「見てほしかった」気持ちを経験したことがある人には、とくに静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
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