
下町ロケット2 ガウディ計画
池井戸潤
小学館 / 2015-11-10
この本について
仕事を続けていると、ときどきふと立ち止まってしまう瞬間があります。がんばっているつもりなのに、評価や出世の基準に振り回されて、いまの自分がどこに向かっているのかよくわからなくなる。あの焦りにも似たモヤモヤ、けっこうしぶといんですよね。 『下町ロケット2 ガウディ計画』を読むと、そのモヤモヤに少し風が通る感じがあります。抜粋にもありますが、この物語って「出世が目的化した瞬間に、人は何を見失うのか」とか、「誠実さなんて古いと言われがちな時代でも、結局それを手放すと自分が困る」という、働くうえでの核心みたいなところにまっすぐ触れてくるんです。特に、逃げずに踏みとどまる佃製作所の面々の姿は、自分の仕事にも置き換えやすくて、ああ、あの一歩を踏み出すかどうかで未来って変わるよなと実感します。 もうひとつ、この本が効くのは「苦しいときの思考のクセ」を見せてくれるところです。マイナス思考に落ちるのは簡単だけど、そこに居座るほど状況はよくならない。とはいえ、無理に前向きになれと言われても動けない。でも物語の中で誰かが少しずつ前に進むのを見ると、自分も同じペースでいいのかもしれないと思えるんですよね。 今の働き方に少しでも迷いがある人、特に「がんばっているのに何かズレている気がする」タイプには、静かに響く本だと思います。
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