
パブリックスクール ―檻の中の王― (キャラ文庫)
樋口美沙緒
徳間書店 / 2015-10-31
この本について
人間関係って、一度深くつながった相手ほど距離を変えるのが難しいですよね。もう前とは違うとわかっていても、情だけが残って動けなくなることがあるし、自分の心のサイズが変わってしまったことを素直に認めるのにも時間がかかります。あの頃と同じ場所にいられない自分に、どこか罪悪感がつきまとうような感じです。 『パブリックスクール ―檻の中の王―』で描かれているのは、その“心の変化を受け入れる痛さ”そのものです。読者が抜き出していた言葉の多くが、誰かを強く想いながらも、同時にその想いを手放そうとする葛藤に向いているのが印象的でした。特に「きみはとっくに気付いてる。一人では生きていけない」「僕はもう、きみを愛するのはやめる」という場面は、ただ恋愛の話というより、自分の世界を広げるための通過点のように響きます。それまで自分を支えてくれた相手への感謝と執着、その両方を抱えたまま前に進む姿が、妙に現実的なんですよね。 この作品が効くのは、誰かとの関係を変えざるをえなかった経験のある人だと思います。あの頃の自分を裏切っているようで苦しかったり、それでも新しい場所に踏み出すしかなかったり。そんなときに、この物語の登場人物たちの不器用な選択が、少しだけ自分の背中を押してくれるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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