
坂の途中の家
角田光代
朝日新聞出版 / 2018-12-30
この本について
日常のささいな判断で、自分はちゃんとしているのか、それともただ周りに合わせているだけなのか、ふと立ち止まってしまうことがあります。人との違いが気になったり、家族の役割に正解を求めてしまったり。でも実際は、その違和感を誰にも言えずに抱え込むほうがしんどかったりします。 『坂の途中の家』の抜粋を見ていると、読者が反応しているのは「正しさの基準が揺らいだ瞬間」なんだろうと思います。天気予報を二重に確認する几帳面さと、何も考えずに飛び出していく人。そのどちらが大変かをふと比べてしまうあの感じ。あるいは、子どもの成長を他の家庭と比べてしまう気まずさ。そして、結婚や家族の形を“ちゃんと”選んだはずなのに、どこか足元が覚束ない感覚。この小説は、そうした揺れが「誰にでもある」とそっと示してくれます。 物語は裁判員としての視点を通して進むのですが、日常の価値観がじわじわと揺さぶられていく過程が現実的で、読んでいて妙に身に覚えが出てきます。何かを断定してくれるわけではないけれど、自分が抱えてきた判断基準の癖に気づくきっかけにはなると思います。 家族や“普通”にうっすら違和感を抱いてきた人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
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