
エロティック日本史 古代から昭和まで、ふしだらな35話 (幻冬舎新書)
下川耿史
幻冬舎 / 2016-03-29
この本について
仕事でも生活でも、どうして人の欲や振る舞いってこんなに理屈どおりに動かないんだろう…と、ふと立ち止まることがあります。頭では分かっているのに、人間そのものの「ややこしさ」に向き合うと、歴史のほうがむしろ正直なんじゃないか、と感じる瞬間があるんですよね。 この本を読んで刺さったのは、昔の人の性や欲望が、いまより乱れていたとか未熟だったという話ではなく、むしろ生活や政治、身分制度のなかに自然に入り込んでいたという事実でした。遊女に衣服を贈るのが当たり前だったことや、夜回りの文化、さらには体位の呼び方が時代ごとに変わっていく様子など、細部がとにかく生活の延長にある。その空気感を知ると、欲望は「個人の問題」ではなく、社会の仕組みや価値観に強く左右されるのだと腑に落ちます。 もう一つ良かったのは、記述が妙に神話化されていないところです。水牛の角を加工して使った話のように、時代ごとのリアルな工夫が語られていて、歴史が急に生活の匂いを帯びてくる。こういう細部に触れると、自分の価値観もどこかの時代の“産物”なんだと冷静になれます。欲や関係性に振り回されがちな人こそ、一度読んでおくと視点がやわらかくなります。 「人間の欲望を、昔の空気ごと眺め直したい人」にとくに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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