
チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷―塩野七生ルネサンス著作集3―
塩野 七生
新潮社 / 1982-09-28
この本について
仕事でも日常でも、物事の原因を一つに決めつけられなくてモヤモヤすることがありますよね。人の行動にも組織の判断にも、別々の理由が複雑に絡みあっていて、「結局どれが正しいのか」が見えにくい。頭ではわかっていても、つい単純化したくなる瞬間が僕にもあります。 塩野七生『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』は、そんな感覚を少し揺らしてくれる本でした。抜粋にもありますが、チェーザレという男は、何かを選ぶときに必ず複数の意図を重ねて動く人物として描かれます。敵対者を消すときでさえ、権力構造、外交、父への影響、フランスとの関係…と層がある。その“多層で動く”感覚を追体験すると、現代の職場の「なんであの人あんな判断したんだろう」という疑問も、少し別の角度から見られるようになるんです。 もう一つ、この本が効くのは「理想と現実の折り合い」のところ。傭兵制度を脱したいと語りながら、現実には傭兵を使うしかないチェーザレを見ていると、理想を掲げながら現実的な条件に縛られる僕らの姿そのものにも思えてきます。言い訳でも逃げでもなく、その時点で可能な手を積み上げるしかない、という静かな強さに触れます。 歴史の話なのに、自分の仕事の判断基準を見直したくなる。そんな読書体験をしたい人に刺さる一冊です。
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