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ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II
塩野 七生
新潮社 / 1993-08-10
この本について
仕事でも私生活でも、誰かの失敗に対して「結局、どこまで責任を問うべきなんだろう」と迷う瞬間があります。強く問いすぎれば組織は荒れるし、曖昧にすれば前に進まない。そんなモヤモヤを抱えているときに、この『ハンニバル戦記』のローマ人の姿勢がやけに落ち着いて入ってきました。 ローマは敗将を罰しない、という話は有名ですが、読み進めると、そこには“感情をいったん横に置いて国の持続を優先する”という、現代にも通じる視点がありました。責任追及よりも、次に戦うための体制づくりを優先する。その結果、かつて捕虜になった将軍が数年後にふつうに復帰している。自分ならできるだろうか、と考えながら読みました。また、成功体験が人を頑固にする、という指摘も思い当たる節が多く、判断が鈍る瞬間の理由がすっと腹に落ちます。 さらに、この本が面白いのは、歴史のプロセスそのものを「愉しんでいい」と著者がはっきり言ってくれるところです。壮大な戦記なのに、登場人物の迷いや嫉妬や計算高さまで人間くさく描かれていて、遠い時代の話なのに、不思議と自分の職場や人間関係と地続きに感じられます。 組織の空気に悩んでいる人、責任や判断に迷いがちな人には静かに刺さる一冊だと思います。
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