
クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社文庫)
西尾維新
講談社 / 2008-06-13
この本について
人と関わるとき、相手の気持ちなんて本当は分からないよな…と思いつつも、分かったふりをして日常をまわしているときがあります。友情や善意をどう扱うかでつまずいたり、「意味づけしないと落ち着かない」自分に疲れたり。そんなときに西尾維新のこの一冊を読むと、少しだけ肩の力が抜けました。 読者が保存した抜粋にもあるように、この物語には“整合性”とか“必然性”への期待をあっさり裏切る場面が多いです。けれど、それが逆に効いてくる。何でも説明しようとする癖を一度外してみると、人間関係の見え方が変わるんですよね。貸し借りに縛られすぎていないかとか、友情を疑いすぎていないかとか、ふだん無意識に抱えている前提をそっと裏返してくれる感じがあります。 もう一つ、この本には「意味を求めすぎると見えなくなるものがある」という視点があります。零崎という存在を外側から理解しようとする試みがそもそもズレている、という語り方は、私たちの日常にもそのまま重なる部分があると思います。分かろうと必死になるほど、相手の輪郭がぼやけていくあの感覚に近いです。 なので、この物語は事件の謎解きよりも、自分の中の“勝手な決めつけ”をふっと緩めたい人に向いています。複雑さを無理に整理しなくても、生きている限り何かは残るし、それで十分なんじゃないかと思わせてくれる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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