
ハサミ男 (講談社文庫)
殊能将之
講談社 / 2002-08-15
この本について
人を相手にしていると、「理由がわからない行動」に出会って立ち止まることがあります。筋の通らなさに戸惑うし、こちらの経験則も当てにならない。そんなとき、自分の“理解したい欲”ばかりが空回りして、余計に混乱することがあるんですよね。 『ハサミ男』を読んでいて感じたのは、その“理由を求めすぎる”癖をいったん横に置かされる感覚でした。作中では、人が他人の行動に意味を見いだそうとする執着が、どれだけ偏った視点を生むのかが淡々と描かれます。倫理や感情の綺麗ごとではなく、ただ「自分の不快感が判断の根っこにあるだけじゃないか」と突きつけられる場面もあって、妙に現実に刺さるんです。また、直感や経験が万能ではなく、結局は“事実を見る目”がものを言うんだという姿勢も、仕事に疲れた頭にすっと入ってきました。 物語そのものはミステリですが、読んでいると自分の思い込みや、他人を理解した気になっている癖に気づかされます。何かを判断するとき、どこまでが自分の投影で、どこからが現実なのか。その揺らぎに興味がある人には特に向いていると思います。 「説明のつかない行動に振り回されがちな人」に、静かに効く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
読書の順序
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