
この本について
最近、「自分たちって何者なんだろう」と考え込んでしまう瞬間が増えました。ニュースを見ていても、SNSで議論を眺めていても、無意識のうちに「自分が属している集団」に引っ張られている気がして、でもその境界って本当に確かなものなのか、と疑問が残るんですよね。 『増補 民族という虚構』は、そういうモヤモヤの足場を静かに揺らしてきます。たとえば、頭蓋の形で「優等人種」を作ろうとした19世紀の逸話を読むと、人がどれだけ都合よく“区分”を作り上げるかがよく分かるし、日本人が100年で総入れ替えになるのに「同じ民族」と感じ続ける仕組みの話は、日々の感覚を根本からほぐしてくる感触があります。また、同一性は初めからあるのではなく、私たちの相互作用から後づけで生まれるという視点は、職場や家族の関係にもそのまま持ち込めるもので、ちょっとした人間関係の違和感すら別の角度から見せてくれます。 「中心」を守るから「周辺」を受け入れられる、という説明も個人的にはずっと残りました。自分が何を大事にしているのかが見えないまま境界ばかり意識すると疲れるけれど、どこが“自分にとっての中心”なのかが分かると、他者との距離の取り方が少しやわらかくなるんです。 自分や社会の“当たり前”がどこから来ているのか気になる人に刺さる本だと思います。自分の立ち位置にざらつきを感じているときほど効きます。
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