
ニルヤの島 (ハヤカワ文庫JA)
柴田 勝家
早川書房 / 2016-08-25
この本について
仕事でも人間関係でも、「自分だけ損してないか」とか「公平にやってるつもりなのに、なぜか報われない」といったモヤモヤを抱える場面ってありますよね。正しさを選んだのに、結果だけ見ると不器用な立ち回りになってしまうあの感じ。頭では割り切れても、気持ちが追いつかないまま時間だけ過ぎていくこともあります。 『ニルヤの島』の抜粋が保存されているのを見ると、きっとあの“猿と蟹”のやりとりに刺さったんじゃないかと思います。誰が得をして、誰が損をして、そこにどんな選択があったのか。公平に見える状況の裏で、小さな利己が積み重なって差になること。逆に、一度の判断で未来の可能性を手放してしまうこと。その描写が妙にリアルで、日常のあらゆる場面に重なってしまうんですよね。 この本が面白いのは、そうした“社会の理不尽”を説教ではなく、行動の結果として淡々と見せてくるところです。読む側が勝手に考え始めてしまう。自分はどの猿だったのか、あるいは今後どう振る舞いたいのか。さらに、記憶を「一人で紡いでも出来損ないになる」という一文には、関係性の中でしか成立しない人生の重さがあって、ここもぐっとくる人が多いはずです。 損得や公平さの感覚に疲れてしまった人、自分の選択をどこまで信じていいのか揺らいでいる人に、静かに効いてくる物語だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの60%が集中しています。
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