
その可能性はすでに考えた (講談社文庫)
井上真偽
この本について
仕事でも日常でも、状況をいくら並べても「結局どれが正しいのか分からないまま」手が止まることってありますよね。考えたつもりでも、実は同じところを堂々巡りしていて、どこを疑えばいいのかすら曖昧になるあの感じ。僕もよくやります。 『その可能性はすでに考えた』を読んでいて、読者の方が難語や宗教的な比喩、異様なほど細かい状況証拠の描写を多く保存していたのが印象的でした。たぶん刺さっているのは、「あり得る可能性を徹底して洗い出し、そこから“本当に残るもの”だけを拾い上げる」という姿勢そのものなんですよね。三つの謎を前に、奇抜さより“説明できるかどうか”を基準に仮説がふるい落とされていく様子は、迷った時に何から考え直すべきかを教えてくれるようでした。 この本が効くのは、まず「考えすぎてむしろ視野が狭くなる」状態をいったんリセットしてくれるところです。異端審問のような比喩も含め、視点を強制的にずらしてくれるので、思い込みがどこに潜んでいたのか気づきやすい。そしてもう一つは、状況と仮説の“整合性”にこだわる態度が、仕事の判断にもそのまま使えるところ。感情ではなく、条件を一つずつ満たすかどうかで前に進める感じが心地いいです。 「選択肢が多すぎると動けなくなる人」には特に刺さると思います。僕も迷う側の人間ですが、この本はその迷い方を少しだけ上手にしてくれました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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