
『資本論』の核心 純粋な資本主義を考える (角川新書)
佐藤 優
KADOKAWA / 2016-09-10
この本について
日々ニュースや政策の議論を見ていて、「なんでこんなに分かったようで分からない言葉ばかりなんだろう」とモヤモヤすることが多いです。理論と実践がどう結びついているのか、あるいは新自由主義って実際どんな前提で動いているのかを、自分なりに整理しようとしても、途中で抽象語に押し切られてしまう感じがあるんですよね。 この本が助かったのは、そうした“思考停止させる接着剤ワード”を一度ぜんぶ外して、歴史的な条件や人間のあり方まで引き戻して考え直す姿勢を教えてくれるところでした。著者はマルクスの議論がよくイメージされる「国家管理の社会主義」に自動的に接続されていないことを丁寧にほどきながら、そもそも彼がどんな前提で資本主義を見ていたのかを、肩肘張らない語り方で示してくれます。また、新自由主義が力を持つ理由を「排除の思想」という構造でとらえる視点は、日々のニュースを眺める時の目線をかなり変えてくれました。自分が知らないうちにその“きれいな空間”の論理にのせられていないか、立ち止まるきっかけになります。 特に、標語の繰り返しや単純化された言葉ではなく、歴史主義や経済人類学まで視野を広げながら社会を見る方法を探している人には静かに刺さる本だと思います。煽られずに考えたい、でも何から疑えばいいのか分からない──そんな時に手元に置いておくと役に立つ一冊でした。
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