
興亡の世界史 ロシア・ロマノフ王朝の大地 (講談社学術文庫)
土肥恒之
講談社 / 2016-09-09
この本について
歴史書を読むとき、「結局どこが今の世界や自分の仕事と関係あるんだろう」とモヤモヤすることがよくあります。ロシア史なんて特に距離があるように見えるし、皇帝が誰で、どの改革がいつ行われたかを追うだけだと、自分の生活に落とし込むのが難しい。でもこの本を読んでいる人の抜粋を見ると、刺さっているポイントはそこではないんですよね。 例えば、逃亡農民の「捜索期限」が撤廃され、事実上“逃げ道が塞がる”瞬間に、権力がどんなロジックで人を縛っていくのかが透けて見えます。あるいはエカテリーナの地方改革にしても、「啓蒙的な政策」の裏でどれだけ統制を保とうとしていたかが丁寧に描かれていて、きれいな言葉だけでは国家は動かないという現実感がある。そしてピョートルの改革のように、危機を前にした為政者が“最も犠牲を強いる案”を選んでしまう構造は、規模は違えど組織のなかで私たちも見覚えがあります。 ロシア史は遠い国の話に見えて、実は「統治される側の感覚」や「組織が変わるときの歯車の噛み合わせ」が生々しく描かれるジャンル。この本はその部分をちゃんと拾ってくれるので、歴史から現在の判断基準を見直したい人には向いていると思います。特に、権力や制度がどう人を動かし、どう人を縛るのかに関心がある人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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