
バッハ=魂のエヴァンゲリスト (講談社学術文庫)
礒山雅
講談社 / 2010-04
この本について
仕事に追われていると、自分が何を拠りどころにして生きているのか、ふと分からなくなる瞬間があります。目先のタスクを片づけても、どこか乾いた感じが残るというか。そんな時に、この本の抜粋を読んで「刺さる」と感じた人は、たぶん自分の内側で同じモヤモヤと向き合っているんだと思います。 バッハが兄の楽譜を月明かりで書き写したエピソードは、才能云々よりも「どうしても手に取りたいものに向かってしまう人間の衝動」に触れてきます。あの集中力や執念に、私たちは自分の失われかけた熱を思い出すようなところがあります。また、バッハが音楽そのものを疑わず、価値を信じ続けたという指摘も、今の私たちには逆に新鮮です。成果とか効率ではなく、ただ「これは大事だ」と思う感覚に正直でいることが、こんなにも難しかったのかと気づかされます。さらに、彼が厚い家系の伝統の中で育ちながらも、人生の空しさに真正面から向き合っていた事実は、どんな人でも迷いから完全には逃げられないんだと、変な安心を与えてくれます。 日々の生活に追われつつも、「心が飢えている気がする」ときに立ち止まれる人には特に刺さるはずです。バッハの伝記というより、人が何を支えに生きるのかを、静かに考えさせてくれる本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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