
雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―(新潮文庫)
村上 春樹
この本について
最近、見えているはずの世界がいまいち立体的に感じられないというか、「結局どれが本当なんだろう」と迷うことが増えていませんか。日常のなかで慣れた景色ばかり見ていると、自分の感覚がどんどん平坦になっていくようで、ちょっと息苦しくなるんですよね。僕も同じで、何かに触れて視点をゆさぶられないと、世界そのものが薄く感じてしまう瞬間があります。 『雨天炎天』は、そういう“感覚の鈍り”みたいなものを、強引ではなく静かにほぐしてくれる旅の記録です。村上春樹がギリシャやトルコの辺境を歩きながら見ていたものは、きれいごとではない現実で、条理が虚無に吸い込まれるような出鱈目さだったり、説明しようのない音の気配だったり、予測不能な状況そのものです。でも、その「でも」「しかし」を挟まないまま受け取る眼差しに触れていると、自分の認識の枠も少し揺れて、息が通る感じがあるんです。 たとえば、公認売春地域で性欲すら黙ってしまうほどの混乱を前にしても、無理に意味づけしない。夜を突き抜ける尖塔の音を、録音では伝わらない“状況を含んだ音”として丸ごと受け取る。こういう具体的な経験が並ぶことで、「世界は予習できない」という当たり前を思い出せますし、そのぶん自分の感覚もゆっくり起き上がってくる気がします。 日常が平板に感じていて、知らないものに出会う感覚を取り戻したい人に響くと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの15%が集中しています。
読書の順序
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