
アンダーグラウンド (講談社文庫)
村上春樹
講談社 / 1999-02-15
この本について
仕事でも日常でも、「自分の物語をちゃんと自分で選べているのか?」みたいな不安が、ふと湧くことがあります。会社や社会のシステムに合わせて動いているうちに、どこまでが自分の意思で、どこからが“流されているだけ”なのか判別しづらくなる。無理して働き続けて体調を崩したり、怖いのに怖いと言えなかったり、記憶すら曖昧になるような感覚に覚えがある人もいると思います。 『アンダーグラウンド』は、地下鉄サリン事件の被害者ひとりひとりの言葉を通して、自分の生活と地続きの“影”を静かに照らしてくれる本です。たとえば、頭痛が治らないまま出社を続けた人の語りからは、「システムに合わせて身体が削られていく」ときのリアルな摩耗が見えてきます。また、善悪をきれいに分けてしまう報道の枠組みとは別に、一人の人間の固有性に丁寧に触れていく視点は、「自分は誰の物語を生きているのか」を考えるきっかけになります。そして、加害と被害を鏡のように映す“内なる影”の存在に触れると、普段避けている問いに少しずつ向きあえるようになる感覚があります。 自分の輪郭がぼやけてきたとき、現実の声をきちんと受け取り直したい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの39%が集中しています。
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