
裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち
上間 陽子
この本について
人の痛みにどう寄り添えばいいのか、わかったつもりで全然わかっていなかったな…って、日常のどこかでふと立ち止まることがあります。励ましの言葉が空回りしたり、相手の沈黙の意味がつかめなかったり、自分の「正しさ」を押しつけてしまったり。そんなとき、何を手がかりにすればいいのか迷うことが多いと思います。 『裸足で逃げる』を読むと、その迷いに少しだけ輪郭が出てきます。たとえば暴力の場にいた子どもが「大丈夫?」よりも「一緒に写真撮ろう」と言う理由。そこには、相手の傷をわかったうえで、せめて一瞬でも「普通の時間」に戻そうとする必死さがあって、言葉より前にある関係の強さが静かに伝わってきます。また、暴力を受けた人が自分を取り戻すまでの時間の重さや、逃げたあとに始まる自己否定の長さも描かれていて、表面的な「共感」では届かない領域がいくつも見えてきます。 さらに心に残るのは、当事者の決断を急かさず、ただそばにい続ける美羽の姿勢です。何かを変えさせるのではなく、変わる準備が整うまで一緒に暮らすように寄り添う。その現実的な距離感が、この本のいちばんの強さだと思います。 誰かの痛みにどう向き合えばいいか悩んでいる人。無理に前向きな答えを押しつけるのは違うと感じている人。そんな人に静かに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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