語りきれないこと 危機と傷みの哲学 (角川oneテーマ21)

語りきれないこと 危機と傷みの哲学 (角川oneテーマ21)

鷲田 清一

累計読者数4
平均ハイライト数 32.8件/人
star総合評価 76/100
start序盤集中型

この本について

最近、人との距離感や、相手の気持ちにどう寄り添えばいいのか分からないまま、ただ日々をやりくりしているだけのように感じることがあります。言葉をかけても上滑りするし、沈黙が正しいのかも分からない。誰かの痛みに向き合う場面って、正解のなさばかりが目につきます。 鷲田さんの『語りきれないこと』は、そういう行き詰まりに少しだけ風を通してくれる本でした。たとえば「相手が納得するまで、じぶんの時間をあげる」という視点。何かしてあげるより先に、急かさずに横にいるという発想が、自分の関わり方を見直すきっかけになります。また、人は「じぶんがじぶんに語って聞かせるストーリー」で成り立っていて、そのストーリーが壊れたときに何が起きるのかを具体的に語ってくれるので、他人の痛みへの理解が少しだけ立体的になります。さらに、「語りなおしは他人が代わりに語ってはいけない」という指摘は、善意でやりがちな失敗をそっと教えてくれます。 派手な解決策は出てきません。ただ、自分の不器用さをそのまま抱えたままで、「こういう関わり方なら無理なく続けられるかもしれない」と思わせてくれる。そんな柔らかい効き方をする本です。 人に寄り添うことにいつも迷ってしまう人に、特に静かに届くと思います。

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