
「聴く」ことの力
鷲田 清一
CEメディアハウス / 1999-06-30
この本について
人の話をちゃんと聴いているつもりなのに、どこかすれ違う感じが残ることがあります。相手の言葉を受けとめているつもりでも、実際は内容だけを追いかけてしまって、声の質や、その場の空気ごと聴けていないんじゃないか──そんな後味の悪さ、僕自身もよくあります。 鷲田清一『「聴く」ことの力』を読むと、このモヤモヤの正体が少し具体的に見えてきます。聴くことは受動的な作業ではなく、「語る側に、自分の声がちゃんと届いたという出来事を生む行為」だという指摘は、とくに刺さりました。相手のペースに追いつこうとして焦るほど、かえって相手は“聴かれていない”と感じる。その逆に、沈黙を共有する時間が関係を支えることもある。このあたりの感覚は、読者の保存した抜粋にもよく表れています。 また、「語ることがまことのことばを封じ込めることがある」という部分は、自分の意見を急いでまとめようとするときの違和感にそのままつながります。言葉で整える前の揺らぎをいったん受けとめる。そこから相手の自己理解の場が開かれる、という視点は日常の会話を少しだけ変えてくれます。 自分の話し方よりも、相手の存在の感じ方に目を向けたい人。そんな人には静かに効いてくる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの48%が集中しています。
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