
ロシアについて 北方の原形 (文春文庫)
司馬遼太郎
文藝春秋 / 1989-06-10
この本について
仕事でもニュースでも「なんでこの国はこう動くんだろう?」と考えてみても、結局は薄い理解のまま終わってしまうことが多いですよね。ロシアもその代表で、目の前の出来事だけ追っていると、どうしてもつかみどころがないままモヤモヤが残ります。僕もずっとそんな感じでした。 司馬遼太郎の『ロシアについて』は、そのモヤモヤを少しずつほどいてくれる本でした。ロシアの振る舞いを「性格」とか「気質」で片づけず、シベリアの毛皮経済やコザックの行動、タタール支配の遺産、火器への執着といった“具体的な歴史の条件”から説明してくれるので、国の動きが急に立体的に見えはじめます。たとえば、シベリアを拾い物のように広げていった感覚や、外敵への異様な恐れがいまも政治文化に残っているという指摘は、自分の中でずっと引っかかっていた「なぜ?」にそっと位置を与えてくれました。同時に、日本側の視界の狭さも出てきて、島国の思考の癖まで照らされるような感覚がありました。 歴史の大きな流れに翻弄される人々の姿が淡々と描かれているので、読み終わる頃には「国って、積み重なった条件で動いているんだな」と少し落ち着けます。表層のニュースに振り回されがちな人ほど刺さると思います。 ロシアや国際情勢を“怖いまま放置してきた人”にこそ手に取ってみてほしい一冊です。
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