
美味礼讃 (文春文庫)
海老沢泰久
講談社 / 2022-12-15
この本について
仕事でも趣味でも、頑張っているのに「これ以上どう進めばいいのか分からない」と立ち止まる瞬間ってありますよね。技術は磨いてきたつもりなのに、最終的な“味”みたいなものが見えない。自分のやってきたことを信じ切れない。そういうモヤモヤに触れたとき、この本の抜粋を読み返すと、妙に落ち着くというか、肩の力が抜ける感じがありました。 『美味礼讃』は料理人の物語ではあるんですが、そこに描かれる悩みや葛藤は、仕事をしていれば誰だって覚えがあるものです。技術は教えられても、最終的な仕上がりは自分の感覚に委ねるしかないこと。過去の巨匠の“味”を、舌の記憶だけで受け継ぎ続ける人がいること。そして、結果がどう転ぶか分からない投資でも、「決めた以上は行ってこい」と背中を押す人がいること。こういう場面を見ると、自分が今感じている不安も、特別なものじゃないのかもしれないと思えてきます。 特に刺さったのは「結局、人間にできることは、自分がやってきたことに満足することだけ」という言葉でした。努力が報われる保証なんてないけれど、積み重ねたものをちゃんと見直す姿勢がないと、いつまで経っても前に進めない。これは料理の世界に限らず、仕事で成果が形になりにくい人ほど響くんじゃないかと思います。 自分のペースで成長したい人、才能と努力の境目に迷っている人に、とても静かに効いてくる一冊です。
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