
中世の星の下で (ちくま学芸文庫)
阿部謹也
筑摩書房 / 2010-11
この本について
最近、やるべきことに囲まれているのに、自分の軸みたいなものがうまく掴めない時があります。忙しいはずなのに、どこか澱がたまっていく感じというか。「もっと身軽に考えたい」と思っても、実際には荷物ばかり増えるような日々です。 『中世の星の下で』を読んでいると、そんな現代のモヤモヤとは全然ちがう場所に連れていかれるのに、妙にこちらの生活にも響いてきます。シトー派の僧が、言葉を額面どおりに受け取り、必要最低限どころか「ほぼ何も持たない」生活をしていたこと。旅が、観光でも自分探しでもなく、生命をかけて日常の澱を洗い直す行為だったこと。どれも極端なのですが、極端だからこそ、「ああ、人はこんなふうに余計なものを背負わずに生きる選択もできたんだ」と視点が揺さぶられます。 とはいえ、この本は中世の清貧を理想化したり、現代にも同じように生きろと言ってくるわけではありません。むしろ、私たちが当たり前だと思っている価値観を一度外側から見直すための距離感をくれる感じです。日々の仕事に追われる中でも、自分がなにを「持ちすぎている」のか、あるいはどこで身軽さを取り戻せるのかを静かに考えさせられます。 歴史のディテールから、いまの暮らしを少し違う角度で眺めてみたい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの75%が集中しています。
読書の順序
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