
「世間」とは何か (講談社現代新書)
阿部謹也
講談社 / 1995-07-20
この本について
最近、「誰にどう思われるか」が頭から離れなくなる瞬間ってありませんか。職場でも家族でも、相手の反応を先回りして疲れてしまう。かといって完全に無視するのも違う気がする。この“距離感の正解”が分からないまま、ずっと手探りでやっている感じがあります。 阿部謹也さんの『「世間」とは何か』は、そんなモヤモヤの背景にある「見えない空気」の正体を静かに説明してくれます。世間と社会は同じようでいてまったく別で、私たちは驚くほど狭い人間関係の網の中で評価や立場を気にしながら動いている。なぜ有能さより“掟”が優先されるのか、なぜ初対面で相手の背景を探ってしまうのか、なぜ無実なのに「世間を騒がせてすみません」と言ってしまうのか。抜粋にある場面のひとつひとつが、自分の経験に結びついてしまうのが怖いくらいでした。 この本が効くのは、世間のせいにするためではなく、「自分がいま何に縛られているのか」を言語化できる点です。世間が悪者という単純な話ではなく、なくなったら私たちは途端に行動の指針を失うという指摘もあって、妙に納得させられます。人間関係に疲れたとき、少し距離を置いてメカニズムを眺めるための一本の軸になる本でした。 他人の視線に敏感すぎる自覚がある人には、特に刺さると思います。
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