
仇敵 (講談社文庫)
池井戸潤
Bright Sparks / 2016-04
この本について
仕事でトラブルが起きたとき、「自分でなんとかしなきゃ」と抱え込みすぎて、かえって事態を悪くしてしまった経験ってありませんか。ミス自体よりも、“誰にも相談しないまま進めてしまうこと”の方が怖いと頭では分かっていても、現場にいるとつい視野が狭くなるんですよね。僕も何度か同じ失敗をくり返してきました。 『仇敵』を読んで印象的だったのは、恋窪がまさにその「抱え込み癖」から抜け出せずに、職場で孤立し、誤解され、気がつけば自分の人生ごと巻き込んでいたことです。彼の足元が少しずつ崩れていく描写が、妙にリアルでした。ただ同時に、地方銀行での地味な仕事を通して、人と向き合うことや、ひとりで解こうとしていた問題を“分けて持つ”ことで見える景色が変わっていく様子にも救われました。スキルは誰かの正解を真似するより、自分で考えて試行錯誤した方が身につくという地味な真実も、この物語の流れの中だとすっと入ってきます。 組織で働くことのしんどさと、それでも人と関わりながら前に進むしかない現実を、少し落ち着いた距離から見せてくれる一冊でした。仕事で「自分だけが踏ん張らなきゃ」と思い込みがちな人には、特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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