
岳飛伝 十三 蒼波の章 (集英社文庫)
北方謙三
集英社 / 2017-11-22
この本について
仕事でも人間関係でも、「自分の判断はどこか歪んでいないか」と不安になる時がありますよね。感情を切り離したいのに、完全には切れない。距離を置こうにも、どうしても巻き込まれてしまう。そういう時に、いまの立ち位置を静かに整えてくれるのが『岳飛伝 十三 蒼波の章』でした。 この巻では、圧倒的な戦の描写の裏に、登場人物たちが抱える揺らぎが濃く出てきます。母の存在に判断が狂っていないか迷う宣凱や、言ってしまった言葉を後から少し後悔する兀朮、空を翔んだような一瞬の高揚と「しかし、俺は生きているな」と呟く李俊。それぞれの迷い方があまりに人間的で、自分の弱さや未熟さまで許せる気がしてきます。 何より響いたのは、「自分の力を見誤っているのでは」と感じても、それでも帝は帝であるという会話や、墓前で史進が静かに語る“密かな宝”の場面でした。派手な決断よりも、誰にも見えないところで積み重ねてきたものが最後に人を支える、という感覚がとても腑に落ちます。 大きな正解に向かわず、揺れたままでも前に進むしかない時。この巻は、その揺れを無理に整えようとせず、ただ一緒に抱えてくれる物語です。迷いながらも自分の芯を探したい人に、きっと刺さります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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