
増補 ハーバーマス ──コミュニケーション的行為 (ちくま学芸文庫)
中岡成文
この本について
人と話していて、「なんでこんなにすれ違うんだろう」とか、「議論してるはずなのに、勝ち負けのゲームみたいになってしまう」と感じること、けっこうありませんか。こちらはちゃんと向き合いたいのに、気づけば相手の腹の内を読むばかりで、言葉そのものが信用できなくなるあの感じです。僕自身、仕事でも私生活でも、このモヤモヤがずっとつきまとっていました。 『増補 ハーバーマス──コミュニケーション的行為』は、その行き詰まりに対して直球で向き合う本です。すぐに誰かと「わかり合える」ようになるわけではないのですが、発言ってそもそも何を前提に成り立っているのか、そして議論がただの応酬ではなく「討議」と呼べる状態に達するには何が必要なのか、視界が一段クリアになる感覚があります。特に、すべての発言には三つの前提があるという指摘や、日常の権力関係をいったん外して相互に理由を示しあう場を“理想”として持っておくことの意味は、実際の会話を整理するときにかなり効きます。 読みながら、相手を打ち負かすためではなく、より説得的な理由に自分も乗り換える姿勢って、本当はこういうことだったのかと腑に落ちました。ハーバーマスの議論は大げさな理想論ではなく、現実の社会で「どこが歪んでいるのか」を照らすための道具として読めるのがありがたいところです。 議論の場で疲れやすい人、コミュニケーションの誠実さを信じたいけどうまく扱えない人に、静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの39%が集中しています。
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