
オウム真理教事件とは何だったのか? 麻原彰晃の正体と封印された闇社会 (PHP新書)
一橋 文哉
PHP研究所 / 2018-07
この本について
ときどき、自分の判断に自信が持てなくなる時があります。流されていないつもりでも、強い言葉や不安な空気に触れると、気づかないうちに“考えることを手放している瞬間”があるんじゃないか……と不安になることがあります。 この本を読んでいて刺さったのは、当時の信者たちが特別に脆かったわけではなく、焦りや不安の中で「自分より強い存在に頼りたい気持ち」をすくい上げられた結果として、判断力が少しずつ奪われていったという視点でした。教祖に絶対服従しながら、同時にその教祖へ“都合のいい情報だけを与えて動かす”幹部の姿も描かれていて、人が組織の中でどう歪んでいくのかが妙に現実的です。理不尽な指示に従う側の心理と、歪んだ権力が生まれる過程の両方を、感情レベルで理解させられる感覚がありました。 読んでいて一番怖かったのは、突拍子もない宗教事件ではなく、「偶然と弱さが積み重なると、普通の人でもこうなるのかもしれない」という距離の近さです。だからこそ、自分が不安な時ほど“考える権利”を誰かに渡さないことの大事さが、変に理屈っぽくなく伝わってきます。 過去の事件を知りたい人というより、組織や人間関係の中で自分を見失いがちな人にこそ、じわっと効いてくる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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