
あひる (角川文庫)
今村 夏子
ゴマブックス株式会社 / 2014-03-20
この本について
人との距離感って、近づきすぎても離れすぎても落ち着かないことがありますよね。好かれているのか、役割としてそこにいるだけなのか、その境目がわからなくてざわつく瞬間。ふだんは流してしまうけれど、後になってじわっと胸に残ったりします。 『あひる』を読むと、その「ざわつき」が言葉になる感覚がありました。親しげなものほど、実は簡単に入れ替えがきく存在になってしまうかもしれないという恐さ。何でもない日常の報告なのに、どこか嘘くさいとか、うまく言えない違和感が尾を引く感じ。そんな微妙な揺れを、表面の事件よりも丁寧にすくい上げてくれます。しかも大げさなドラマではなく、ほんの些細な出来事の積み重ねだけで、人と人の関係がこんなにも不安定になるのかと気づかされました。 読んでいるあいだじゅう「自分もこういう瞬間を見逃しているだけなのかも」と思わされて、少し怖い。でもその怖さのおかげで、人との付き合い方を改めて見直す静かなきっかけにもなります。誰かの表情や沈黙を、以前よりちゃんと見るようになりました。 人間関係の“言い切れない違和感”に心当たりがある人に、特に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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