
書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)
寺山 修司
この本について
最近、ニュースやSNSを見ていて「現実と虚構の境目がよく分からなくなる瞬間」がありませんか。正しさも、善悪も、働く意味も、どこか他人の言葉に上書きされていくような感覚。自分の軸を持ちたいと思いつつ、社会の速度に巻き込まれてしまう。僕自身もよくその沼に沈みます。 寺山修司の『書を捨てよ、町へ出よう』は、その窮屈さを正面からほぐしてくれる一冊でした。たとえば「映画の暴力も真実になる」という感覚は、情報に慣れすぎた自分の麻痺を突いてきますし、「速度と人生は函数関係だと思い込む親父たち」というくだりは、世代の価値観に無自覚に縛られていたことに気づかされました。さらに、日雇い労働者がベルリン・オペラを観に行く話のように、身の丈という枠を一回外してみると、世界の見え方ががらっと変わるんだと実感します。 読みながら思ったのは、寺山が提示してくるのは立派な人生論ではなく、「いまの自分を別角度から照らすための小さな異物」なんだということです。社会の物差しに息苦しさを覚える人ほど、彼の言葉にふっと救われる瞬間があるはずです。 自分の“本当の姿”がどこに隠れているのか分からなくなるときに、静かに効いてくる本です。こんな人に刺さると思います。状況に合わせて生きてきたけれど、そろそろ自分の感覚を取り戻したい人。
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多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの98%が集中しています。
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