
群れるな
寺山 修司
興陽館 / 20171110
この本について
人と比べて落ち込んだり、場の空気に飲まれて自分の意見を引っこめたり。頭では「もっと自由に生きたい」と思っていても、実際にはどこかで遠慮してしまうこと、けっこうあると思うんです。僕もその一人で、集団の中にいると、知らないうちに“正しさ”に寄りかかってしまう瞬間がよくあります。 寺山修司の『群れるな』は、そんなときに読んで息を吸い直せる一冊でした。彼の言う「人は弱いから群れるのではない。群れるから弱くなる」という言葉は、強がりではなく、もっと素朴な「まず一度、自分の足で立ってみろよ」という呼びかけに近い。たとえば「雑種であることを恥じてコンプレックスに罹る」という指摘は、他人の物差しを握りしめて自分を測ってしまう癖に気づかせてくれますし、「旅するとは風景を捨てること」という一文は、環境や関係性を一度ゆるめることで、自分の形が見えてくる感覚に近いものを思い出させてくれます。 この本の効き目は、派手な成功論ではなく、日常の中でかすかに感じていた違和感を「そのままにしなくていい」と教えてくれるところにあります。言葉が鋭くても、読後に残るのは、突き放しではなく「疑問符を持ったまま進んでいい」という柔らかさです。思い切り迷っている人にほど、すっと入る本だと思います。
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