
藤原氏―権力中枢の一族 (中公新書)
倉本一宏
中央公論新社 / 2017-12
この本について
歴史を読んでいると、「結局この時代の権力ってどう動いていたのか」「人物名が多すぎて線がつながらない」といったモヤモヤがいつも残ります。特に藤原氏まわりは有名なわりに、摂関政治とか外戚とか肩書きのイメージだけが前に出て、実際の力の移り変わりがぼんやりしたまま終わりがちです。僕もずっとその状態でした。 この本は、そんな霧のようなモヤモヤを地道にほどいてくれます。読者の方が保存されていた抜粋を見ると、官職名や家格の細かい説明、政務の運営に誰がどう関わったのか、系譜がどこで断絶し、どこでつながり直すのか、そういう「権力の実務」の部分に強く惹かれているのが伝わってきます。例えば、関白という語がまだ明確に登場しない段階でも、どんな権限が実際に行使されていたのかを積み上げていく描き方は、歴史の流れを“構造として”掴みたい人には本当に助かりますし、承和の変や摂家将軍の失脚のあたりなど、事件がどの家にどう響いたのかが線として見えてきます。 読んでいると、特定の人物のキャラに引っ張られるのではなく、「制度がどう動き、家がどう位置づけを変えていったのか」に視点が自然と切り替わるのがありがたいところです。仕事で組織や役割の歴史を考えるときにも、その視点がけっこう効きます。 日本史を「人物列伝」ではなく「権力の仕組み」としてもう一度理解し直したい人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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