
2030年アパレルの未来―日本企業が半分になる日
福田 稔
東洋経済新報社 / 2019-06-21
この本について
アパレルの現場にいると、「国内は縮む、海外は遠い、じゃあ自分はどこに向かえばいいんだろう」とモヤモヤする瞬間が多くないでしょうか。僕自身も、ブランドの方向性を考えるたびに、国内の同質化の中で何を武器にすればいいのか迷うことがよくあります。 この本が面白いのは、アパレルの未来を語るというより、「いま日本の企業がどこでつまずいているか」を構造的に示してくれるところです。たとえば、日本は国内に良い産地も工場もあるのに、それをグローバルで売れる形に変換できていないこと。あるいは、デザイナーや販売員こそ価値の源泉なのに、待遇も裁量も中途半端で、結果として独自性を生む力が弱くなっていること。読み進めるうちに、目の前の悩みが「個人の努力不足」ではなく「仕組みの問題」でもあるとわかって、少し呼吸がしやすくなります。 さらに刺さったのは、既存ブランドをどうにかするより、最初から世界基準でつくり直したほうがいいという視点です。中間価格帯が縮む日本で消耗するより、グローバル市場で戦える独自性をどう作るか。そのためには人事制度や組織設計から変えるべきだという話は、現場で働く人ほど腑に落ちるはずです。 いまの延長線では答えが見えないと感じている人、特に「国内で戦っているはずなのに、気づけば袋小路にいる」と感じるアパレル関係者には強く刺さる本だと思います。
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