
子どもの宇宙 (岩波新書)
河合 隼雄
この本について
子どもと向き合うとき、「これでいいのか」と迷う瞬間ってよくあります。こちらの言葉が届いているのか、愛情は伝わっているのか、そもそも何につまずいているのか分からないまま日々が過ぎていく感じ。大人としての正しさを守ろうとすればするほど、かえって子どもとの距離が広がるような気がするときもあります。 『子どもの宇宙』を読んで驚いたのは、子どもが成長する過程にある葛藤や“傷つき”を、必要なステップとして丁寧に扱っているところでした。親子の間で起こるすれ違いや反発も、ただのトラブルではなく、互いが本音で向き合う通路になり得るという視点は救いに近いものがあります。また、子どもの内側にある「宇宙」を無視した瞬間に、その叫びが大人には届かなくなるという指摘は、自分の態度を振り返らずにいられませんでした。 何でも理解しきることはできなくても、「少しは分かろうとする」姿勢だけで、関係はまったく別の形になるのだと思います。大げさな理論書ではなく、現場の具体的なやりとりが多いので、自分の日常に引き寄せて読めるのもありがたかったです。子どもだけでなく、大人自身の内側の“忘れていた宇宙”にも光があたるので、育児に限らず、人間関係に悩む人にも静かに届く本です。 「正しさよりも、相手の心の動きを知りたい」と感じている人に刺さると思います。
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