
コンプレックス (岩波新書)
河合 隼雄
この本について
人と関わるほど、自分でもよく分からない感情に振り回されたり、相手の言動に過剰に反応してしまったりしませんか。頭では落ち着こうと思っても、どこかで「これはもう性格だから仕方ない」とあきらめ気味になる。そんなときに河合隼雄さんの『コンプレックス』は、少し違う見方をくれます。 読者の方が保存していた抜粋を見ると、刺さっているのは「コンプレックス=消すべきものではない」という視点のように感じます。ユングの言葉を借りれば、それは心の活動の焦点で、むしろ生きる力の源でもある。たとえば夫婦が対話を避け続けた結果、思わぬ形で破綻へ向かうように、向き合わなかった感情は別のところから顔を出す。あるいは、誰かを妙に毛嫌いしてしまうとき、その相手が自分のコンプレックスを映し返している可能性がある、といった例は日常の実感にも近いです。 この本の良さは、コンプレックスを「克服ではなく、扱い方の問題」として描くところにあります。自我が引きずられると現実からズレるけれど、適度な距離で向き合えば、自分の一方的な生き方を補ってくれる。舟が重い荷を積みながらも進んでいくように、負荷そのものが後で大きな仕事になることもある。そんな現実的な手触りが残ります。 自分の感情のクセをどう扱えばいいのか迷っている人、自分の内面と向き合うのが少し怖い人には、とくに静かに響く本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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