グロテスク 下 (文春文庫)

グロテスク 下 (文春文庫)

桐野 夏生

文藝春秋 / 2006-09-10

累計読者数4
平均ハイライト数 19件/人
推定読了時間 約5時間28分
star総合評価 56/100
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この本について

仕事でも人間関係でも、「なんで私だけこんなに噛み合わないんだろう」と感じる日ってありますよね。頑張るほど孤立していく感じとか、評価軸そのものに試されているような息苦しさとか。私も同じで、抜け道が見えないまま走ってしまうことがあります。そんな時に『グロテスク 下』を読むと、正解を示してくれるというより、「この世界の歪みそのもの」を直視させられて、逆に肩の力が抜けました。 この本が効くのは、まず「自分のしんどさが個人の問題だけじゃない」とわかるところです。女であること、どこで生まれたか、会社という場所にどう扱われるか。そういう“構造の荒野”に放り出されている感覚が、作中の言葉を通すと具体的な風景として目の前に現れます。もう一つは、人の中に潜む弱さや醜さを“怪物”として描くことで、自分の内側にも他人の内側にも、同じ成分があると気づける点。嫌悪していた部分が、少しだけ輪郭を持って理解できるようになるんです。そしてもう一つ、救いというより「バランスを取らないと生きられない世界で、それでもどう立つか」を考え直させられるところ。努力や美しさや正しさが必ずしも答えにならない現実が、そのまま物語に流れています。 自分の感情が時々“黒い虫”みたいに増えていく感覚を知っている人には、とても刺さると思います。読んだあとに明るくなるわけではないけれど、自分の立っている場所の輪郭が確かになる本でした。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

光り輝く、夜のあたしを見てくれ! 女たちの孤独な闘いを描いた最高傑作。 就職先の一流企業でも挫折感を味わった和恵は、夜の女として渋谷の街角に立つようになる。 そこでひたすらに男を求め続けて娼婦に身を落としたユリコと再会する。 「今に怪物を愛でる男が現れる。きっと、そいつはあたしたちを殺すわよ」 “怪物”へと変貌し、輝きを放ちながら破滅へと突き進む、女たちの魂の軌跡。 解説・斎藤美奈子 ※この電子書籍は2003年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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