
人間の絆(上)(新潮文庫)
サマセット・モーム and 金原瑞人
新潮社 / 2021-10-28
この本について
人と距離がうまく取れなかった日や、集団の中でふと「自分だけ違う気がする」と落ち込む日ってありますよね。周りと噛み合わない感じが続くと、自分の性格に問題があるのか、それとも世界のほうがズレているのか、判断がつかなくなっていきます。そんな時に『人間の絆(上)』を読むと、誰もが通り抜けてきた弱さや幼さが、少し別の角度から見えてきます。 この本の効きどころは、過度な励ましではなく、成長の過程でどうしても避けられない「痛みのリアル」をそのまま描いているところです。たとえば、他人の愚かさにいら立ち、知識に寄りかかって優越感を持ってしまう自分を直視する場面や、孤独が長く続くことで性格がねじれていく怖さ。それに、読書という救いが、同時に現実から自分を遠ざける面もあること。そのどれもがきれいごとではなく、でも不思議と読んでいて責められている感じがしません。むしろ、自分でも説明しきれなかった心の動きが言語化されていく感じがあります。 読み終わる頃には、選んできた道を後悔してしまう自分も、人とうまく関われず妙な孤立感に陥る自分も、「そういう時期があっても変じゃない」と少しだけ思えるようになります。誰かの成功談よりも、不器用に人生を歩くひとの姿のほうが、自分には効くんだよな…と感じる人に刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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