
夜の谷を行く (文春文庫)
桐野 夏生
文藝春秋 / 2020-03-10
この本について
最近、「自分の過去をどう扱えばいいのか」みたいな悩みをよく聞きます。人に言えるほどでもないけれど、自分の中では重くて、ふとした瞬間に痛む。忘れたふりをしても、会話のひと言や、鏡に映った自分の姿で、急にその傷が開くこともあります。年齢を重ねるほど、こういう感覚って増える気がします。 『夜の谷を行く』は、その“痛みの扱い方”をやさしく教えてくれるような本ではありません。もっと生々しくて、もっと現実的です。登場人物たちは、一度越えてしまった“線”を抱えたまま歳を重ね、生活の細部の中で自分と向き合わざるを得なくなる。冷凍庫の餅の数を確認するような日常の場面でさえ、過去が横から入り込んでくる。読者が抜き出していた箇所は、まさにその「逃げられなさ」に共鳴しているのだと思います。何が本当だったのか、どこで間違えたのか、自分でも説明できないまま時だけが過ぎていくあの感覚です。 この作品が効くのは、無理に前向きにならせようとしないところです。過去を矮小化せず、説明できないまま残ってしまう“記憶の重さ”をそのまま描いてくれる。もうひとつ、この本は「人は歳を取ると別人みたいになる」という当たり前の現実を容赦なく突きつけます。その変化を悲しむのでも、励ますのでもなく、ただ事実として見つめ直させてくれるのが救いでもあります。 自分の過去をうまく語れないまま生きてきた人には、静かに刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの36%が集中しています。
読書の順序
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
BookNotion をお使いの方へ
この本の指標は、あなたの本棚でも見られます
このページで見ている読者数・精読度・完走率は、あなた自身の本にも表示できます。BookNotion をお使いなら、下のリンクを開くだけで自分のデータが出ます(ログイン操作は不要です)。
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要






