
フランケンシュタイン (光文社古典新訳文庫)
シェリー and 小林 章夫
東京創元社 / 1984-02-24
この本について
最近、誰かとの距離感に疲れてしまったり、そもそも自分はどこに居場所があるのか…そんなことを考えてしまう瞬間が多いです。人と関わりたいのに、同時に逃げたくもなる。求めるほど傷つくのもわかっている。頭では説明できないこの感じ、言葉にできず放置してしまいがちです。 『フランケンシュタイン』を読み返していて思ったのは、この小説は「孤独が人をどう変えていくか」を容赦なく描ききっているということでした。怪物が「まずおれの話を聞いてくれ」と訴える場面や、フランケンシュタイン自身が目的のために心身をすり減らしていく描写を読んでいると、自分の中の弱さや焦りがそのまま照らされるような感覚があります。逃げたいのに逃げられない、愛されたいのに届かない、といった心の動きが、極端な形で物語に落ちている。だからこそ、現実の小さな感情にも少し輪郭が生まれる気がします。 この作品が効くのは、悩みを解決してくれるからではなく、「孤独を抱える自分を否定しなくていい」と思わせてくれるからです。怪物もフランケンシュタインも、正しさよりも傷つき方のほうが真に迫っていて、そこが妙に救いになります。自分だけが弱いわけじゃない、と少しだけ呼吸がしやすくなるはずです。 とくに、誰にも理解されないと思い込みやすい人には、静かに刺さる一冊だと思います。
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