
全体性と無限 (講談社学術文庫)
エマニュエル・レヴィナス and 藤岡俊博
講談社 / 2020-04-10
この本について
仕事でも人間関係でも、「自分がいつの間にか役割に押し流されている気がする」とか、「相手と向き合うときに、どうしても自分の都合で判断してしまう」というモヤモヤが出てくることがあります。私もよくそこでつまずきます。 レヴィナスの『全体性と無限』は、そのモヤモヤに直接的な解決をくれるタイプの本ではないのですが、「そもそも私たちは何に押し流されているのか」「他者と向き合うとはどういう出来事なのか」を、静かで鋭い視点からズラしてくれます。たとえば、暴力とは殴る・壊すだけではなく、“相手を本人の連続性から外れた役割に押し込んでしまうこと”だと語られます。これだけで、日常の中で自分がどれだけ“全体性”に乗っかって他人を判断していたかに気づかされます。 また、他者の顔は理解や把握の対象ではなく、私の自発性そのものを問い返す存在だ、と示されるくだりも強烈でした。相手を「わかった気になる」前に、まず一瞬立ち止まらざるをえなくなる。その停止の感覚が、意外と実務的だったりします。さらに、責任とは背負うほど膨らむものだという話も、義務や負荷をどう扱うか迷っているときに、妙に腑に落ちます。 自分の思考のクセや “わかったつもり” を少し外側から見直したい人に刺さる本だと思います。日常の判断が急に澄む瞬間があるので、ゆっくり読むのがおすすめです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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